まとめ:100分de名著 般若心経 1〜4回【見えない力を信じる】
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目次
1.「般若心経[はんにゃしんぎょう]の262文字ー最強の262文字ー」
2.「空の文字に秘められた思想ー世界は空であるー」
3.「繰り返される無の意味ー無が教える優しさー」
4.「262文字の神秘の響きー見えない力を信じるー」
1.「般若心経[はんにゃしんぎょう]の262文字ー最強の262文字ー」
般若心経とは?
インドのサンスクリット語(雅言葉)を漢字に当てはめたもの。般若心経というのは「知恵のお経」という意味。般若波羅蜜心経 大般若波羅蜜の600巻をまとめたもので、特に大事なエッセンスを262文字にまとめたもの。
日本語に翻訳したのは?
玄奘三蔵(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%84%E5%A5%98%E4%B8%89%E8%94%B5)
般若心経を理解するのに大事な「五蘊」
西洋哲学では「我思うゆえに、我あり」のような思想があるが、仏教では「我」はない。
私は仮の姿であり、構成する要素は「五蘊」
- 色:物体、物質(人間なら体)
- 受:外からの様々な刺激に対してどう受け取るか
- 想:受け取った情報に対して私たちが考えること
- 行:意志作用、
- 識:心が捉えた情報を映し出すもの
つまり、私たちはものを約束ごとを決めて、概念を決めてその関係の中で生きている。
表向きのものだけで、本質ではない。
概念にとらわれた生活をしていると、他人が決めた概念の中で操られて違った行動をする危険性がある。決めつけていると、間違えが生じてくる。
空を理解すると、瞬間的に世界の物の見方が180度転換することができると言われている。全く違う生き方に踏み入れることができる。
2.「空の文字に秘められた思想ー世界は空であるー」
「空」が教えてくれる生きるヒントだとすれば、「即式是空」の「空」とは?
色即是空とは、仏教がたどり着いた最強の心理。
- 色=五蘊の色=この世を作っている物質要素のすべて
- 即是空=色は「空である」
つまり、色即是空とは、この世の作っている物質すべては空であるという意味。
伊集院:全く真逆のことを言っている!!私たちはあるものだから物質と言っているが、それも「物質という概念」であるといことなんですね?
移ろいゆく世界には何か法則があるのではないか?
この世界は太陽の移動や月の満ち欠けなど、常に移ろい続けている。
古代インド仏教徒の人々はその移ろいゆく世界の法則を「空」と理解した。
すべての現象のすべての法則を見たい、ということから法則性に集約していく量子力学や、自然科学、というもの。
本当にすべての現象を集約していくと、説明できない・言葉にできないけど感じるものを表現するために仏教の大乗仏教の人たちは「空」と名付けた。
では、空即是色とは?
連続して流れるものを切り取って表現したいと思う、絵画や写真などの芸術。世界を司っている法則を切り取って世に出したい、科学や物理学。
人が何かを作る、想像するという働きの裏には人間は何かわらかない空なるものを切り取って手の中に収めたいと思う、そういう様々な文化の活動の根底には「色即是空・空即是色」の構図がある。
毎日を生きている自分の一瞬に意義を見出す。「空」とはそういうポジティブなもの。
そして、最後に五蘊の受想行識もまた、空である。と後で説明している。
つまりすべての物質(もちろん人間も)は「空」である。
アナウンサー:心の内も空ってどういうこと?メリットは?
佐々木解説者:今思っている、その心は今だけのものである。一瞬の思い。
例えば、苦しんでいても、永遠にそこに存在しているものではない。
3.「繰り返される無の意味ー無が教える優しさー」
「無」とは?
固定した観念をリセットして、新しく考えていこうという意味。
空の中に色がない。これは空の立場からしたら。
受想行識も空だという意味。
無眼耳鼻舌身意・無色声香味食法とは、感覚器官・これによって認識される世界の全てという意味。
無明とは、煩悩。
この煩悩をブッタは世の中の本当のあり方を正しく見れない愚かさと言い、これこそが我々の苦しみの元と言った。
しかし、これらは全てが実体のないものと言っている。
無明尽とは、煩悩が消えること。つまり、私たちが悟ること、ゴール。
なのにこれもない、と書かれている。
伊集院:煩悩に頭が縛られている時も、煩悩が消えてしまう状態の境もないってことなんですね・・・すごい。
なぜ、煩悩を消すのがゴールのはずなのに、それらすべてがないと書かれているのか?
お釈迦様は人間の苦しみは煩悩にある。
この煩悩を八正道とした。
般若心経ではこの八正道も無い、と言っている。
決められた枠組み以外にも苦しみを消す道がある。
枠組みを消して、世界のあり方を変えてしまう。
私が変わりたいと思い、持っている枠組みを自覚しながら壊そうと無に近づける、無の連鎖を心にしみつかせることによって価値観の変化が生まれる。
佐々木解説者:どんな生き方なの?それは?というと、それは人それぞれで言い表せないんです。
伊集院:聞こえ悪いけど、自分なりの利用の仕方?
無をいっぱい言われることによって、「それでも、それは無にできない!」と心に最後に残るものが弱点であって、自分の人生?というあぶり方になる。
佐々木解説者:それが物の見方が変わって、新たに出てくるものの見方(価値観が変化)ですね。最後に残るものがあれば。
知恵も悟りも未完である
無智奕無得
悟りを獲得する道具や知恵もなし、それによって悟りもない。
アナウンサー:最高の知恵、知恵の完成のお経が般若心経ですよね?
佐々木解説者:最高の知恵で見た世界は、普通に言っている悟りというような決まったゴールの枠組みも消えてしまう。普通の時と空の時ではゴール(悟り)も違う。2重構造なんです。
菩薩の生き方
菩提薩埵とは?
仏の道、未完成の道を生きる修行中の人
- 仏陀=自らを救うために修行をして悟った人
- 菩薩=人を救うために未完成の道を歩んでいる人
両方とも自分の苦しみを消す一つの道。情けは人の為ならず。
伊集院:般若心経も自分の中で人生合う形でちゃんと変化させないと。
佐々木解説者:そうです。これは人に与えてさあ読みなさいというものではない。自分で出会って、ご縁で出会って、その時自分の心にスパークした時だけに役に立つものなんです。
4.「262文字の神秘の響きー見えない力を信じるー」
見えない力=神秘の力 般若心経はそれを信じ体得するのかというもの。
見えない力とは?般若心経とは?
玄侑僧:お経は自分をリセットするのに必要だった。
伊集院:幸せ、叡智、私たちが見つけたものはなんだっけ?と立ち止まった時、意識した時に般若心経でリセットすることはいいかもしれない。玄侑僧:わが身ひとつになる、お経の力がある。お経より思いから離れられて、救われると思う。
般若波羅蜜多=知恵の完成
それは、大いなる呪文である!最高の呪文であって、比べるものではない。それは一切の苦厄を取り除くものであって、それは偽りのない真実の言葉。
それ、とは・・・・
「羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶」
玄奘三蔵が最後に音写したもの
意味としては、
「いったものよ、いったものよ。向こう岸にいったものよ、向こう岸に完全に行ったものよ。悟りよ、幸あれ」
サンスクリットの呪文として元から作られたものであり、音をそのまま載せた。
呪文として唱えて効果は?
玄侑僧:仏教とは基本的に私が世界の妨げとなり、言葉も妄想、世界をゆがめていると考えている。私がない、言葉がない、あらゆる考えがない状態を天然自然の命と考える。
伊集院:あんまり納得いかない。自分は真逆で生きてきたので・・・音に力あるとして、意味をわからなくて効果があるのか??実を結ばせたいと思うのだが・・・玄侑僧:身を結ぶというのはこの最後の呪文に対する賛嘆がある。般若心経全体を呪文として捉え、唱えないとこのお経は完結しない!意味に対するリスペクトはあるべきだが、また別の行為として唱えるという行為があって両者が合流しないといけない。同時にしようとするから、覚えられない。伊集院:合流するのであれば、まずは音でいいじゃない?ってことならわかりますね。佐々木解説者:般若心経の内容は言葉で説明しきれない世界、言葉の領域を超えたものをなんとか心で捕まえるのが目的であり、そういったこととして、覚えて唱えるということがその行動大事なものになる。
唱えれば「無」になる
アナウンサー:お坊さんは毎日お経を暗記して唱えるので、呪文のような効果、やはり「無」になるように感じる?玄侑僧:覚えていることを再生しているだけであって、言葉の意味を考えると間違える=思考したとたんに間違えるっていう面白い行為。お経を唱えている時は、意識が今だけに居続けている、未来にも過去にもいかないから思考が間違えない。極めて覚醒しているのに、何も考えていないという時間を現代人は特に持っていない。感覚器官・五感すべてが極めて敏感なのに何も考えていないという時間をお経を唱える瞬間に作れる。
般若心経を唱えるどんな効果が?
玄侑僧;私たちの命は、私が住んでいるようだが私が消えた方がいのちはのびのびし、本来の力を発揮する。そういうときに呪文を唱えると私がいなくなってしまう。伊集院:日常的な嫌な記憶を持ったまま、考え続けることは難しい。できない、だからこそこれがいつの間にかなくなるというか、「ただただ生きるというか、ただただいのちになるというか?」これ無心ってことですよね?玄侑僧:そうですね