本:漫画:平匡さん、成長したな!心の成長は重要だ! 逃げるは恥だが役に立つ 7巻

平匡さんの成長回。外へ外へと世界が変わっていったのはきっとみくりがいたからなんだろうなと思わせてくれて、ほっこり。恋愛面も「ムズキュン」よりも安定感がで始めたかなと。
その反面ゆりちゃんの「女性の社会からの見え方」はだいぶ今の日本の深い闇を見ているような気分になってしまった。人生は色々といいつつ、人は皆社会からの見え方や一般的な考えとの折り合いを見つけながら模索して生きているんだな〜と考えて一人暗くなってしまった。

また、仕事に対する考え方。沼田さんたちの「仕事が減っていく中で、他人に儲けてもらって自分たちも儲ける」これは新しい仕事を作るということだけでなく、世の中の仕組み全体がそうなれば、きっと「仕事」というものに対しての概念が変わっていくと思われる重要な話だった。
その一方、やっさんが仕事を工夫すればするほど自分にだけ仕事が舞い込むから手を抜くようになった、と。辛い。社会のシステムが昔ほど働けば働くほどもらえるわけでもなく、特に女性の平均収入は年齢を重ねても伸び悩んでいる時点で、辛い。
女性の方が比較的工夫して物事を並行する能力があるのに、それを家事でしか生かせられない社会。今後の日本の行く末にもつながることだなと思った。

 

 
☆☆☆☆★  89点/110点満点


あらすじ

社会に認められたい。新卒採用全滅、派遣社員もここぞというときに首を切られてしまったみくり。ある時、プロの独身、平匡さんのハウスキーピングを引き受けることに。認められる仕事につけたみくりだったが、家族の事情で田舎へ引っ越すことに。仕事の喜びに目覚めていたみくり、自分にぴったりの家事をこなしてくれることに感謝をしていた平匡さん。二人の意見が合致して、「契約結婚」という事実婚をすることによりお給料が発生する雇用主と、雇われという形での結婚をすることに。

 

7巻:前巻で「両思い」になった二人。

平匡さんは、自社の事業部が縮小。そのため周りの人たちは転職か、その場に残るかと考え始める。今まで通りの生活と思っていた中、沼田さんに誘われ新規事業の立ち上げに興味を持ち始める。その影響でみくりとの関係をどんどん前へと進みたがり、みくりは自分のもやもやした考えを整頓したいと1ヶ月だけの約束で平匡さんの元から離れて、ひとりゆりちゃんの家に住まわせてもらうことに。

距離が離れた分、みくりは自分にむきあって考えた結果「平匡さんと住みたい、対価をもらえる仕事に就きたい」と結論がでたとたん、友人のやっさんから八百屋の手伝いを頼まれる。

一方、友人の勧めで独身バツイチ男性とデートをしたゆりちゃん。しかし、「一緒に子供のために走れる靴を履いた女性」と結婚したいといいすぐに若いこと結婚してしまい、風見につい話し込んでしまった。ゆりちゃんは帰り際、「一人でも安心だよと、自分がそのお手本になりたい」と風見に伝えると「そんなこと言わないで」と言われてしまい、ゆりちゃんは自分でもわからず涙してしまう・・・。


どんな本

社会派恋愛漫画 

誰にオススメ?

普通の恋愛漫画に飽きた人、社会問題に興味がある人、ドラマをみてハマった人

目次

30話:迷える子羊
31話:急いては事を仕損じる
32話:ひょうたんから駒
33話:十人十色
34話:時は金なり

感想

・印象に残った引用、からの自分が思った事

沼田さん
「若い頃は、『自分のアイディアを形にしたい』『自分を表現したい』っていうのに惹かれるじゃない。でも、年をとってくると『世の中の役に立ちたい』『世界をもっとよくしたい』って思うようになってくるんだよね」
→沼田さんの仕事論はいつも深いところを突いてくる。。。自分から世界に、周りに目を向けられ雨ようになってくると大人になったんだなって思うのだろう。

みくり
「そうじゃない人もいるでしょうが、多くの女にとって「可愛い」はむしろ服従ですよ!くそ!こんなのに・・・・と思いながらも可愛いとなると全面降伏ですよ、土下座ですよ、理性では抗えない力、それが可愛い!」
→みくりがの内心がどんどん外へ。35歳の可愛いパンダのシーンでも思ったが、女性の「可愛い」と思うスタンスには考えさせられるところがある。

平匡さん
(みくりと出会い回想して)「そこで思い切った一歩を踏み出すかどうか。人生はそういう決断で大きく道が分かれる。どちらを選んでも同じ人間だから幸せの感じ方は多分同じようなんだろう。けど、幸せの種類が変わってくるんだと思う。俺は一人で暮らす梓あわせではなく、誰かと暮らす幸せを選んで今があるんだなあ」
→平匡さんがだいぶ「人と関わって生きていく」という事にシフトチェンジしたんだなって理解できたシーン。それに、どの道でも幸せの感じ方は一緒でも種類が違う、というところに今までなかった考え方だったためメモ。幸せって、どこにいても違う形でも受け止め方は自分次第。どの種類の幸せを選びたいかってところでも自分次第。きっと、みんな欲してる幸せの形が違うというところには気がついていても受け止め方では変わってくるって案外気がつけないよなって思う。

青池
(沼田さんの新しい転職先についての説明で)「世界で一番偉い人は誰かという話である人がね「それは新しく仕事を作った人だ」って言っててなるほどなと思ったんですよ。ー中略ー今ってどんどん便利になっていく代わりに仕事そのものが減っていってるじゃないですか。でも、大事なのは一つのアイディアからいろんな人に仕事が生まれる事だと。じゃあ自分たちはって考えた時僕らは他人が儲かる仕組みを作る事で儲けようと思ったんですよね」
→人によっては響かないかもしれないけど、今回で一番響いたセリフ。仕事論の中で最もなるほどなと思った部分がここに集約されている気がする。他人が儲かる仕組みを作って自分も儲ける。いいな。

みくり
(ゆりちゃんとの生活で、同性婚がオッケーになったら友達同士での生活もありだなと考え)「何を持って家族とするかは人それぞれなんだよな」

平匡さん
(昔は世界に壁を作っていて、期待されることのないでも孤独な世界にいたが、みくりの影響で外へ出たことに対して)「でも、いつでもそこに戻れるんだとしたら、今は壁の外の世界を味わいつくしてやろうとも思うんだ。気が遠くなる幸福感や体の芯まで冷たくなるような痛みを」
→平匡さん・・・。1巻の心が読めない人からだいぶ変わったな〜と。性格がごろっと変わるわけではないけれども、新たな壁を乗り越えた人の心情は強いなって。いいなって思った言葉だった。

五十嵐
(風見から基本へこたれないですよね、なんでですか?という質問に対して)「基本人と人とは分かり合えないと思っていますからね。だから相手に興味もわくし伝わらなくても必要以上にへこまないようにしてます。」

ゆりちゃん
「さっき社会からの見え方の話してたけど 、人生は勝ち負けじゃなくて味わうものだって年を重ねるとわかってくるの。あたしは独身で子供もいないけど楽しく暮らしてるし、それで安心する人もいるんじゃないかって思ったりね。なら、年をとって一人なのが怖いっていう人に、あの人がいるじゃないって安心するような存在になれたらなって。そういう人も社会に必要でしょ。結婚しないと子供がいないと不幸っていう脅迫概念から若い女の子たちを救ってあげたいなって」
→女性の社会的立場。これってかなり深い問題で特に日本は男女の差が広がって先進国では特に男尊女卑の考えが深い国だと世界ランキングにもでていましたよね・・・。結婚や子育ては勝ち負けの世界でもないという概念をつい忘れてしまうほどに、日本の報道、社会的考えは根深いものになってしまっている。この漫画は本当に奥が深いな。


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1巻: