本:普通じゃない人の普通の日常 「チルドレン」 伊坂幸太郎

チルドレン (講談社文庫)

チルドレン (講談社文庫)

 

 

☆☆☆☆★ 87点/110点満点


どんな本

短編集(ただし、主人公が変わるが、世界観は繋がっている。)
日常の中の非日常の一部、というか設定的に現実的ではないが、所々に出てくる現実感の「伊坂ワールド」が存分に発揮された作品。

誰にオススメ?

現実世界に飽きている人、就職前の人、仕事に飽きている人 、(ミステリまでいかないけど)伏線回収が好きな人  

目次

バンク (大学時代の友人)
チルドレン  (会社の後輩)
レトリーバー  (バンクの回で知り合った友人の彼女)
チルドレンⅡ  (会社の後輩)
イン  (バンクの回で知り合った友人)

*カッコ内は主人公。メインキャラクター陣内との関係性。

感想

伊坂幸太郎作品は好きなものが多く、点数は甘めになってしまうが、今回もやはりキャラクターの味が一味、二味もよく読み返しても面白かった。

<設定>
キャラクターや設定に現実感はないのに、所々に出てくる現実感の「伊坂ワールド」が存分に発揮された作品だったと思う。
この短編集の特徴はすでにいろんなところで書かれていると思うが、主人公が全て違う短編だが、繋げて読むと一人の人を中心とした長編小説になるところだ。

短編として読むか、長編として読むかで読む側の心理が変わってしまうがどちらの取り方でも楽しめるので、自分で好きな読み方をするのがいいと思う。 その代わり時系列はバラバラなので、注意。

<キャラクター>

キャラクターの「陣内」は全編に渡り登場する人物で主人公がその陣内に関わる人物。なので、どちらが主人公かと言われるとわからなくなってしまうのだが、陣内という人物を浮き彫りにさせていく手法が、短編なのに長編という物語の構成も役立ってか、とても効果的になっている。

全てのキャラクターは個性的で面白いのだが、この陣内は特に際立って書かれていて、魅力的である。 陣内の意味があるのか、ないのかわからない行動を通して物語の最後にはちょっとした伏線が回収されるので、そういう読者をニヤリとさせてしまう伊坂ワールドが好きだと改めて思う作品だった。

▼関連本▼

 伊坂幸太郎さんの普通じゃない人の普通の日常シリーズ(勝手に命名)

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

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ラッシュライフ (新潮文庫)

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砂漠 (新潮文庫)

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